ご親族が亡くなられ、葬儀の準備を進める中で「湯灌(ゆかん)」という言葉を耳にした方もいらっしゃるのではないでしょうか。大切な故人のためにできる限りのことをしてあげたいと思う一方で、追加の費用がかかるため、行うべきか迷われるかもしれません。
この記事では、湯灌にかかる価格の相場やその内訳、具体的な儀式の流れ、そして他の処置との違いについて詳しく解説します。この記事を読めば、湯灌について正しく理解し、納得して判断できるようになるでしょう。
湯灌とは?故人のための大切な儀式

湯灌とは、故人様のお体をぬるま湯で洗い清め、身支度を整える儀式のことです。単に体を清潔にするだけでなく、故人様への感謝と敬意を示す大切な時間とされています。専門の湯灌師が、ご遺族の立ち会いのもと、専用の浴槽などを用いて執り行います。
湯灌を行う2つの意味
湯灌には、大きく分けて2つの意味があります。一つは、衛生的な観点です。ご遺体をきれいに保ち、感染症などを防ぐ目的があります。もう一つは、宗教的・精神的な観点です。現世での穢れや苦しみを洗い流し、安らかに来世へと旅立てるようにという願いが込められています。また、ご遺族が故人様と触れ合う最後の時間として、心の整理をつけるための大切な儀式でもあります。
湯灌は必ずしも必要ではない
湯灌は、すべての葬儀で必ず行わなければならない儀式ではありません。病院で亡くなられた場合、看護師によってエンゼルケア(清拭など)が行われるため、衛生面はある程度保たれています。湯灌を行うかどうかは、故人様への想いやご遺族のお考え、宗教的な慣習、そして費用などを総合的に考慮して判断しましょう。
湯灌の価格相場と費用の内訳

湯灌を検討する上で、最も気になるのが価格ではないでしょうか。ここでは、湯灌の費用相場や料金体系について解説します。
湯灌の費用相場は5万円から10万円
湯灌の価格相場は、一般的に5万円から10万円前後です。価格には、湯灌師の人件費、専用の浴槽や備品の使用料、死化粧や着付けなどの料金が含まれています。自宅で行うか、斎場の専門施設で行うかによっても価格が変動することがあります。
サービス内容 | 費用目安 | 備考 |
清拭と簡単な身支度 | 5万円前後 | 浴槽を使用せず、アルコールなどで体を拭き清める形式。 |
浴槽を使用した湯灌 | 8万円~10万円 | 専用の浴槽で洗体や洗髪を行い、納棺まで一連の儀式を執り行う。 |
葬儀の基本プランには含まれないことが多い
注意点として、湯灌は多くの葬儀社の基本プランには含まれておらず、「オプション」として扱われることがほとんどです。そのため、湯灌を希望する場合は多くの場合、追加料金が発生します。葬儀社との打ち合わせの際には、プラン内容をよく確認し、湯灌の費用が含まれているか、追加する場合はいくらかかるのかを必ず確認しましょう。
湯灌の費用を抑える2つの方法
湯灌の費用を少しでも抑えたい場合、いくつかの方法があります。一つは、浴槽を使わずに体を拭き清める「清拭(せいしき)」のみのプランを選ぶことです。これにより、費用を数万円程度抑えられる場合があります。もう一つは、湯灌と納棺がセットになったパッケージプランを選ぶことです。個別に依頼するよりも割安になることがあります。葬儀社によってプラン内容は様々ですので、複数の選択肢を比較検討しましょう。
湯灌と他の処置との違いを比較

湯灌と混同されやすい処置として、「エンゼルケア」や「エンバーミング」があります。それぞれの違いを理解し、故人様にとって最適な方法を選びましょう。
エンゼルケア(清拭)との違い
エンゼルケアとは、死後の処置全般を指す言葉で、病院で亡くなった際に看護師が行う遺体の清拭や着替え、簡単な化粧などが含まれます。湯灌が来世への旅立ちを願う儀式的な意味合いが強いのに対し、エンゼルケアは故人の尊厳を守り、ご遺体を衛生的に保つための医療的な処置という側面が強いです。
エンバーミングとの違い
エンバーミングは、ご遺体を長期間衛生的に保存するための化学的な防腐・殺菌処置です。体内の血液の一部を防腐剤に入れ替えることで、腐敗を防ぎ、生前に近い安らかなお姿を保つことができます。湯灌が「洗浄」を目的とするのに対し、エンバーミングは「長期保存と修復」を目的としており、専門の資格を持つ技術者によって専門施設で行われます。費用も湯灌より高額になるのが一般的です。
葬援独自の癒しの湯灌「おんせん湯灌」

故人様への最後の感謝を込めた特別なお別れをお考えの方に、家族葬のそうえんの「おんせん湯灌」がおすすめです。本物の天然温泉水を使用した革新的なサービスは、ご遺族からは「大好きだった温泉に、最後にもう一度入れてあげたかった」「最後まで、本当に大切にされたね」と声が上がっています。
古来より人々を癒やしてきた清らかな温泉のお湯で故人様を優しく清めることで、人生の旅路の疲れを癒やして差し上げることができます。湯灌の時間は、ご遺族だけが故人様と過ごす静かで貴重なひとときです。生前の思い出を語りかけながら、温もりを通して言葉にならない想いを伝えあう最後のコミュニケーションの場として、心に深く残る体験をもたらしてくれます。後悔のないお別れをお望みの方は、ぜひご検討ください。
【関連記事】新サービス「 おんせん湯灌 」のご案内
湯灌の儀式の流れと手順

湯灌の儀式は、おおよそ1時間から1時間半かけて行われます。ご遺族も一部参加しながら、故人様との最後の時間を過ごします。
準備とマッサージ
まず、湯灌師が専用の浴槽を設置するなど準備を行います。その後、死後硬直を和らげるために、故人様の手足などを優しくマッサージします。ご遺族への説明の後、必要以上に肌が見えないようタオルで覆いながら、浴槽へとお移しします。
逆さ水でお清め
ご遺族の手で、故人様をお清めする「逆さ水の儀」を行います。これは、たらいの水にお湯を注いでぬるま湯を作る、通常とは逆の手順(逆さ事)で行われます。柄杓でそのお湯をすくい、故人様の足元から胸元へとかけて差し上げます。
全身の洗浄と洗髪
湯灌師が、シャンプーやボディソープを使って、丁寧に洗髪と全身の洗浄を行います。男性であれば髭剃り、女性であれば産毛剃りなども行い、隅々まで体を清めていきます。儀式の間、肌の露出には最大限の配慮がなされるため、安心して見守ることができます。
死装束への着せ替えと死化粧
体が清まったら、新しい布団へお移しし、体を拭いて髪を乾かします。その後、「死装束」と呼ばれる経帷子(きょうかたびら)に着替えさせます。ご希望によっては、故人様が生前愛用されていた服を着せることも可能です。最後に、お顔の色を整える「死化粧」を施し、安らかなお顔で旅立てるよう身支度を整えます。
納棺の儀
身支度がすべて整ったら、ご遺族の手でご遺体を棺に納める「納棺の儀」を執り行います。故人様の愛用品などを副葬品として一緒に入れることもできます。この納棺をもって、湯灌の儀式は終了となります。
湯灌に立ち会う際のマナー

湯灌の儀式に立ち会う際には、いくつか知っておきたいマナーがあります。故人様を穏やかに送り出すために、心に留めておきましょう。
服装は平服で問題ない
湯灌に立ち会う際の服装は、喪服である必要はなく、地味な色の平服で問題ありません。ただし、儀式の後にお通夜が控えている場合など、時間的な余裕がなければ喪服で参列しても構いません。
立ち会いは遺族や親族のみ
湯灌は故人様とごく近しい人々とのお別れの場です。立ち会うのは基本的にご遺族やご親族のみとされています。親しいご友人などが立ち会いを希望された場合でも、お断りすることがマナー違反になることはありません。
小さな子供の立ち会いについて
お子様が立ち会う場合は、事前に湯灌がどのような儀式であるかを説明し、心の準備をさせてあげることが大切です。儀式の途中で気分が悪くなったり、怖がってしまったりした場合は、無理をさせずに退出できるよう、大人が寄り添ってあげましょう。途中で入退室することはマナー違反にはなりません。
まとめ

湯灌の価格相場は5万円から10万円で、故人様の体を洗い清め、来世への旅立ちを安らかにするための大切な儀式です。葬儀の必須項目ではありませんが、故人様への感謝を形にし、ご遺族が死と向き合うための重要な時間となります。この記事で解説した内容を参考に、ご家族でよく話し合い、後悔のない選択をしてください。
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